明治学院大学 Meiji Gakuin University
東京の都心にありながら多くの緑に囲まれた明治学院大学。野沢園では白金キャンパス内の植栽管理やクリスマスツリーの設置などを行っています。今回は明治学院大学管財課の大谷さんに、キャンパス内の緑の大切さについてお話を伺いました。
ケヤキの木の植え替えで
コミュニケーションが深まりました
野沢園さんに植栽管理を依頼したのは2016年のことです。当時、東村山市にある明治学院中学・高等学校内にビオトープを作る工事を野沢園さんに依頼していました。大学の植栽管理もちょうど業者選定を行うタイミングだったので、声をかけさせてもらったのがきっかけです。
最初に依頼したのは、国道沿いにあるケヤキの木の植え替え作業です。かなり大きなケヤキの木で、樹木医診断で倒木の危険を指摘されたため、植え替える必要があったのです。ケヤキを選定するにあたり、群馬県にあるケヤキの産地まで野沢園のスタッフさんに同行させてもらいました。現地では枝ぶりや株立ちの幹の美しさ、樹形の見え方などを教えてもらいながら2本のケヤキを選定しました。
実際に産地まで同行したことでコミュニケーションが深まり、野沢園さんの樹木のプロとしての知識を見ることができたことで、安心して大学の植栽管理を任せることができました。
ケヤキの植え込み作業も、昼間は学生がいるため深夜に行ってもらったり、近隣への騒音対策から機械を使えず手作業となるなど大変な作業となりましたが、丁寧に作業していただき感謝しています。ケヤキの根に酸素が届くよう酸素管を埋め込む工夫もあり、今では10m越えの立派なケヤキになりました。大学本館の顔として育ってくれて感慨深いです。
大学の顔である正門の芝生広場を
美しく見せるために
明治学院大学白金キャンパス内における緑地の見どころの一つは、正門を入ってすぐ右手に広がる芝生広場です。ここは1990年代に行われた白金再開発の設計段階から、芝生越しに重要文化財である建物や校舎が見えるように配慮されています。そのため、青々とした美しい芝生を年間通してきれいに保つことをとても大切にしています。
特にオープンキャンパスや学園祭など、多くの人が訪れる時に合わせて芝生がきれいに見えるようにしてもらっています。芝生は刈ったばかりの時よりも、1週間から10日ほどたち少し育ってきたときが一番きれいに見えるそうで、イベントの日程に合わせて刈り込んでくれるので助かります。
冬にはこの芝生広場に10mを超える大きなクリスマスツリーを設置します。モミの木も本物の木を産地から運んでもらい毎年とても好評です。
学生が過ごしやすい緑の空間
大学構内の中心にあるヴォーリズ広場は、学生が集える空間になっています。広場には多くのサルスベリとシナノキが植えられ、さわやかな木陰を作ります。サルスベリは夏にピンクと白の花を咲かせるのでとても明るい雰囲気となり、学生たちのはつらつとした空間にふさわしい植栽となっています。
広場はすべてを緑で覆うのではなく、芝生の緑とコンクリートの白が絶妙なコントラストで清潔感のある空間となるようにしています。この広場は建物に囲まれているので、一部日当たりが悪く芝が育ちにくいことが懸念されました。そこで野沢園さんの提案により、コウライシバからセントオーガスティンという日陰に強い芝に一部植えてもらうことで、日陰のエッジ部分まできれいに緑が植栽されています。細部にまで気を使い緑を絶やさないようにすることで、学生が落ち着いてキャンパスライフを過ごしてもらえるような植栽をこころがけています。
歴史ある大学内の植栽を
つないでいきたい
学内にある樹木は古いものが多いので、内部が朽ちていたり、病気になっていたりしないかが心配です。そこで野沢園の樹木医さんに診断を依頼し、樹木の健康を見てもらうことにしました。今大学内にある緑を次世代につないでいけるように樹木を適切に管理していきたいと思っています。
明治学院大学の職員も植物に関心のある人が多く、緑を大切にという意識が根付いています。大学構内に「アンネのバラ」という広島のホロコースト記念館から譲りうけたバラがあります。20年以上前のことなので、だんだんとバラの元気がなくなってきていました。そこで野沢園さんにお願いしてバラの接ぎ木をしてもらうことにしました。バラの接ぎ木は難しいとのことでしたが、2022年には芽を出し接ぎ木が成功しました。私たちの気持ちに寄り添い、接ぎ木に挑戦してくれたことはとても嬉しかったです。今ある植物をつないで歴史を残していくことが大切だと思っています。
明治学院大学は歴史を感じさせる建物とあふれる緑に、一歩足を踏み入れるとすがすがしい気持ちになれる大学です。今植えてある樹木や植物を健康的に管理しながらも、学生さんたちがより快適に過ごし、楽しめるような植栽も今後提案していけたらと思っております。緑に対する意識がとても高いので、野沢園もその気持ちにおこたえできるよう今後も尽力していきたいです。